広島県福山市にあるなかむら歯科クリニック 歯科衛生士 塩飽です。今回は、顎関節症に悩む多くの方に向けて、その症状、治療法、そしてご自身でできるケアについて詳しく解説していきます。「顎関節症って治るの?」「どんな治療法があるの?」「自分でできることは?」といった疑問をお持ちの方は、ぜひこの記事を参考にしてください。顎関節症は放置すると、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。正しい知識を持って、早期の対処を心がけましょう。
目次
- 顎関節症とは?
- 顎関節症の症状
- 顎関節症の原因
- 顎関節症の治療法
- 顎関節症の自己ケア
- 顎関節症のQ&A
- まとめ
1. 顎関節症とは?
顎関節症とは、顎関節やその周辺の筋肉に痛みや機能障害が生じる病気の総称です 出典:日本顎関節学会。顎関節は、頭の骨(側頭骨)と下顎の骨(下顎骨)をつなぐ関節で、口を開けたり閉じたり、食べ物を噛んだりする際に重要な役割を果たしています。この顎関節や、顎を動かす筋肉(咀嚼筋)に何らかの問題が生じると、顎関節症の症状が現れます。顎関節症は、比較的多くの人が経験する疾患であり、日本人の2人に1人は生涯に一度は顎関節症の症状を経験するとも言われています。しかし、症状が軽い場合は、自然に治ることもあります。問題となるのは、症状が慢性化したり、日常生活に支障をきたす場合です。
顎関節症は、単一の原因で発症するわけではなく、様々な要因が複合的に関与していると考えられています。そのため、治療法も多岐にわたり、症状や原因に合わせて適切な治療を選択する必要があります。
2. 顎関節症の症状
顎関節症の主な症状としては、以下のものが挙げられます。
顎の痛み:顎関節やその周辺の筋肉に痛みが生じます。痛みは、物を噛むときや口を開閉するときに強くなることが多いです。
口が開けにくい:口を大きく開けようとすると、顎関節に引っかかりを感じたり、痛みが生じたりして、十分に口を開けることができません。
顎関節の音:口を開けたり閉じたりする際に、顎関節からカクカク、ジャリジャリといった音がすることがあります。
噛み合わせの違和感:噛み合わせが変わったように感じたり、特定の場所で噛むと違和感があったりします。
その他の症状:頭痛、肩こり、首の痛み、耳鳴り、めまいなどを伴うこともあります。
これらの症状は、単独で現れることもあれば、複数同時に現れることもあります。症状の程度も、軽いものから日常生活に支障をきたすものまで様々です。顎関節症の症状は、放置すると悪化する可能性もあるため、気になる症状がある場合は、早めに歯科を受診することをおすすめします。
3. 顎関節症の原因
顎関節症の原因は、一つに特定することが難しいのが現状です。多くの場合は、以下のような複数の要因が重なって発症すると考えられています。
歯ぎしりや食いしばり:睡眠中や日中の無意識下で歯ぎしりや食いしばりをしていると、顎関節や咀嚼筋に過剰な負担がかかり、顎関節症の原因となります。
不良な姿勢:猫背などの不良な姿勢は、首や肩の筋肉を緊張させ、顎関節にも悪影響を及ぼします。
ストレス:精神的なストレスは、筋肉の緊張を高め、顎関節症の症状を悪化させることがあります。
外傷:顎関節に直接的な外傷を受けた場合、顎関節症を発症するリスクが高まります。
噛み合わせの悪さ:生まれつきの骨格や、歯科治療によって噛み合わせが悪くなった場合、顎関節に負担がかかり、顎関節症の原因となることがあります。
生活習慣:頬杖をつく、うつ伏せで寝る、片側だけで噛むなどの生活習慣も、顎関節に負担をかける原因となります。
これらの原因は、それぞれが単独で顎関節症を引き起こすだけでなく、互いに影響し合って症状を悪化させることもあります。

4. 顎関節症の治療法
顎関節症の治療法は、症状や原因に合わせて様々な方法があります。主な治療法としては、以下のものが挙げられます。
4.1. 保存療法
保存療法とは、手術を行わずに症状の改善を目指す治療法のことで、顎関節症の治療の基本となります。
薬物療法:
消炎鎮痛剤:痛みを和らげるために、ロキソニンなどの消炎鎮痛剤を使用します。
筋弛緩薬:筋肉の緊張を和らげるために、ミオナールなどの筋弛緩薬を使用します。
抗不安薬:精神的なストレスが原因となっている場合は、抗不安薬を使用することがあります。
効果:痛みや筋肉の緊張を緩和する。
期間:症状に合わせて数日から数週間程度服用します。
メリット:比較的即効性があり、手軽に始められる。
デメリット:根本的な原因の解決にはならない、副作用の可能性がある。
スプリント療法(マウスピース):
就寝時にマウスピースを装着することで、歯ぎしりや食いしばりによる顎関節への負担を軽減します。
効果:顎関節への負担を軽減し、症状の緩和や悪化の防止に繋がる。
期間:数ヶ月から数年単位で継続して使用します。
メリット:非侵襲的で、比較的安全性が高い。
デメリット:マウスピースの調整が必要、装着に慣れるまで違和感がある場合がある。
理学療法:
温熱療法:患部を温めることで、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげます。
マッサージ:顎関節や咀嚼筋をマッサージすることで、筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減します。
運動療法:顎関節の可動域を広げるための運動を行います。
効果:筋肉の緊張緩和、血行促進、可動域の改善。
期間:症状に合わせて数週間から数ヶ月程度継続します。
メリット:副作用が少ない、自宅でも行える。
デメリット:効果が出るまでに時間がかかる場合がある。
認知行動療法:
ストレスの原因を特定し、ストレスへの対処法を身につけることで、顎関節症の症状を改善します。
効果:ストレス軽減、行動変容。
期間:数ヶ月程度のカウンセリングを行います。
メリット:根本的な原因の解決に繋がる可能性がある。
デメリット:効果が出るまでに時間がかかる、専門的な知識を持つカウンセラーが必要。
4.2. 外科療法
保存療法で十分な効果が得られない場合や、顎関節の構造的な問題が原因となっている場合は、外科療法が検討されることがあります。
関節鏡手術:
顎関節の中に内視鏡を挿入し、関節の状態を確認しながら、炎症の原因となっている組織を除去したり、関節の動きを妨げているものを除去したりします。
効果:関節内部の清掃、可動域の改善。
期間:手術時間は1~2時間程度、入院期間は数日程度です。
メリット:低侵襲で、比較的早期に社会復帰が可能。
デメリット:手術のリスクがある、効果に個人差がある。
開関節手術:
顎関節を直接切開し、関節の構造的な問題を修復します。
効果:関節構造の修復、可動域の改善。
期間:手術時間は2~3時間程度、入院期間は1週間程度です。
メリット:関節の構造的な問題を根本的に解決できる可能性がある。
デメリット:手術のリスクが高い、術後のリハビリが必要。
4.3. その他の治療法
ボツリヌス療法:
咀嚼筋にボツリヌス毒素を注射することで、筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減します。
効果:筋肉の緊張緩和、痛みの軽減。
期間:効果は3~6ヶ月程度持続します。
メリット:比較的即効性がある。
デメリット:効果が一時的、繰り返し注射が必要。
レーザー治療:
顎関節や咀嚼筋にレーザーを照射することで、血行を促進し、炎症を抑え、痛みを軽減します。
効果:血行促進、炎症抑制、痛みの軽減。
期間:症状に合わせて数回照射します。
メリット:非侵襲的で、副作用が少ない。
デメリット:効果に個人差がある、複数回の照射が必要。
顎関節症の治療は、患者さんの症状や原因に合わせて、これらの治療法を単独で、または組み合わせて行います。どの治療法が最適かは、歯科医師とよく相談して決定することが重要です。
5. 顎関節症の自己ケア
歯科医院での治療に加えて、ご自身でできるケアも顎関節症の改善に役立ちます。
生活習慣の改善:
正しい姿勢を保つ:猫背にならないように、背筋を伸ばして座るように心がけましょう。
ストレスを溜めない:適度な運動や趣味などでストレスを解消しましょう。
頬杖をつかない:頬杖をつく癖がある場合は、意識してやめるようにしましょう。
片側だけで噛まない:バランス良く両側の歯で噛むようにしましょう。
うつ伏せで寝ない:できるだけ仰向けで寝るようにしましょう。
顎関節ストレッチ:
口をゆっくりと大きく開け閉めする。
顎を左右にゆっくりと動かす。
顎を前後にゆっくりと突き出す。
これらのストレッチを、痛みを感じない範囲で、1日に数回行いましょう。
温罨法:
蒸しタオルなどで顎関節を温めることで、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげます。
食事の工夫:
硬い食べ物や噛みごたえのある食べ物は、顎関節に負担をかけるため、できるだけ避けましょう。
柔らかく、食べやすいものを中心に摂取するようにしましょう。
これらの自己ケアは、顎関節症の症状を緩和するだけでなく、予防にも効果的です。日々の生活の中で、意識して取り組むようにしましょう。
6. 顎関節症のQ&A
Q1. 顎関節症は自然に治りますか?
A. 軽度の顎関節症であれば、自然に治ることもあります。しかし、症状が慢性化したり、日常生活に支障をきたす場合は、歯科を受診して適切な治療を受けることをおすすめします。
Q2. 顎関節症は何科を受診すれば良いですか?
A. 歯科、または歯科口腔外科を受診してください。顎関節症に詳しい歯科医師に相談することをおすすめします。
Q3. 顎関節症のマウスピースは保険適用されますか?
A. 顎関節症の治療用として製作されたマウスピースは、保険適用される場合があります。詳しくは、歯科医師にご確認ください。
Q4. 顎関節症の治療期間はどれくらいですか?
A. 治療期間は、症状や原因によって異なります。数週間で改善する場合もあれば、数ヶ月、数年単位で治療が必要となる場合もあります。
Q5. 顎関節症を放置するとどうなりますか?
A. 顎関節症を放置すると、症状が悪化し、口が開けにくくなったり、顎の痛みが慢性化したりする可能性があります。また、頭痛や肩こり、首の痛みなどを引き起こすこともあります。
7. まとめ
顎関節症は、顎関節やその周辺の筋肉に痛みや機能障害が生じる病気です。原因は様々ですが、歯ぎしりや食いしばり、不良な姿勢、ストレスなどが考えられます。治療法は、薬物療法、スプリント療法、理学療法、認知行動療法などがあり、症状や原因に合わせて適切な治療を選択する必要があります。また、ご自身でできるケアも顎関節症の改善に役立ちます。顎関節症の症状でお悩みの方は、早めに歯科を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

福山市 なかむら歯科クリニック 歯科衛生士 塩飽
ナイトガードのお手入れ方法
福山市 なかむら歯科クリニック 歯科衛生士の富田です。
今回はナイトガードのお手入れ方法を紹介します。
■ ナイトガードのお手入れ方法
【毎日やること(基本)】
① 外したらすぐ水で洗う
→ 唾液が乾くと汚れ・ニオイの原因になります
② やわらかい歯ブラシで軽くこする
→ 歯磨き粉は使わない(研磨剤で傷がつく)
③ しっかり乾燥させる
→ 風通しの良いケースに保管
【週1〜2回のケア(しっかり洗浄)】
・専用洗浄剤を使う(入れ歯用でOK)
例:ポリデント
→ 水に溶かして一定時間つけるだけ
→ ニオイ・細菌対策に効果的

■ やってはいけないNG行動
これは結構大事です👇
・熱湯で洗う → 変形する
・歯磨き粉でゴシゴシ → 傷がついて菌が増える
・濡れたまま密閉 → カビ・臭いの原因
・ティッシュに包む → 捨てやすい&乾燥しすぎ
■ 使用前のポイント
・装着前に歯磨きをする
→ 汚れを閉じ込めないため
・毎日使う(サボると効果が下がる)
■ 寿命の目安
・約6ヶ月〜2年(個人差あり)
※以下があれば交換サイン
・穴があいてきた
・ヒビ・変形
・ゆるくなった
■ よくあるトラブルと対処
●ニオイが気になる
→ 洗浄剤+しっかり乾燥
●着けると痛い
→ 噛み合わせが変わっている可能性 → 歯科で調整
●外れやすい/きつい
→ 変形の可能性 → 再作製検討
■ ちょっとしたコツ
・ケースも定期的に洗う(意外と菌が多い)
・旅行時も必ずケースに入れる
・ペットのいる家庭は注意(噛まれやすいです)
気になる事があれば、お気軽にお声掛け下さい。

福山市 なかむら歯科クリニック 歯科衛生士 富田
